ショコラいろのセレナーデ



 

2016年 日本

制作: レイ

制作ツール: RPGツクールVX ACE

作者様サイト: http://alpha1995.jimdo.com/

DL: http://www.freem.ne.jp/win/game/11218

プレイしたバージョン:Ver1.03~1.05

  雪の村に住む二人、デュランタとリナリア。とある事情から父母と離れ、孤独のただ中にあった少女と、そのさびしさに手を差し伸べたもう一人の少女。長い間家族のように共に過ごしてきた彼女たちにも、別れの時が近づきつつあった。バレンタインデーを間近に控えたある日、リナリアはデュランタを「あるもの」を集めるための冒険へと誘う。

 

 バレンタインを前に「あるもの」を集めようと、冒険に出かけた女の子二人のお話。プレイ時間は約30分とコンパクトながら、RPGの楽しさがぎゅっと詰まったステキなゲームです。

 主人公の女の子二人はどちらも違ったタイプながら、とにかくかわいらしく、ほのぼのとやり取りを見ていられます。村の中やダンジョンの探索時に限らず、戦闘中もお互いへのメッセージがあったり、状況によってセリフが変わったりと、かけ合いが丁寧に描かれています。べたべたしすぎず、それでいて相手を大切に思う描写は作中のあちこちにさりげなく散りばめられており、プレイ中は微笑ましさでニヤニヤし通しでした。

 

 楽しみは物語部分のみならず、「ユーザビリティにこだわった」という作者様の言葉どおり、ダンジョン探索や戦闘システムにも随所に工夫が凝らされています。ザコ戦はシンボルエンカウント+遅めの動き+経験値稼ぎの必要がないというストレスフリーな仕様、ボス戦前には全回復ポイントあり、戦闘後は入口までのショートカットとかゆい所に手が届く親切づくしです。細かい部分では文章速度切り替え機能もあり、ダンジョン内の会話イベントやヒントもアイコンを調べれば複数回見られるため、大事なメッセージを取りこぼす心配もありませんでした。

 また、主人公の一人・リナリアちゃんの能力が装備の組み合わせによって大きく変化するため、「これとこれを組み合わせたらどうなるだろう」と試行錯誤するのもプレイ中の楽しみの一つでした。一周あたりのプレイ時間が短いぶん、遊ぶたびに「今度はこれを使ってみよう」「あれをやってみよう」とあれこれ考えられる新鮮さがあったのも、繰り返してプレイしたくなる理由のひとつだったと思います。

 

 かわいらしい女の子二人の関係性に癒されつつ、最後まであたたかい気分に浸っていられる幸せなゲームでした。長編や重厚なシナリオの作品だけでなく、短い時間でプレイできるゲームにやりごたえを求める方へもオススメしたい一本です。

 なお、作者様はなんとこれが初作品とのこと。現在も次の作品を制作中ということで、今後のご活躍にも期待が高まるばかりです!

 

※2016.11.26 追記:新作「戦海ディザイア」が公開されました!

 

 

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