少年旗戦エンボイズ



 

2016年 日本

制作: ガキノハウス

制作ツール: RPGツクールVX ACE

作者様サイト: http://gakinohouse.web.fc2.com/

DL: http://www.freem.ne.jp/win/game/12907

プレイしたバージョン:Ver1.0 ~1.1

 メイサ・グローン。ノディオ王国前衛兵隊に所属する、謹厳実直な下級兵士の青年。ある夏の日、いけ好かない上官アルバートから受けた命令は、教官として一人の少年兵を鍛えることだった。拒否権もなく任務を引き受けた彼が出会ったのは、「捨て駒」呼ばわりされる頼りない少年ユウト。弱気な彼に苛立ちつつも、メイサはひと夏をかけ、教官としての務めに専念する。自らの働きがユウトだけでなく、彼自身の運命を変えていくことも知らずに……。

 

 2016フリゲ展!theFINAL 夏 参加作品。訓練や勉強といったコマンドを選び、少年兵士ユウトを成長させていく育成シミュレーションゲームです。

 ゲームの大部分を占める育成パートでは「勉強」「訓練」などのコマンドを選び、生徒であるユウトの能力値を成長させていきます。コマンドの種類や難易度によって上昇する能力値は異なりますが、厳しく鍛えるだけでは本人のためになりません。時には休息を与えてみたり、慣れない仕事をさせてみたり、あるいは故郷ゆかりの品を贈ってみたり……。操作そのものは簡単ですが、試行錯誤が楽しいパートでした。

 一方、交流パートではユウトとの交流や他のキャラクターとメイサの関わりを通して軍内部にはびこる問題や過去の出来事が明らかになっていきます。一見弱気で頼りなげなユウトが本当はどんな人間なのか、教官のメイサがどう行動していくべきなのか。軍人は誰のために軍人として生きるのか、現実に打ちのめされた時、理想を取り戻すためには何を為せばいいのか。

 二人の軍人の成長を描いた物語は、メイサがユウトに何を教えたか、どう接したかによって幾つかの結末に分岐します。選択した内容によっては無情な結果になることもありますが、そのぶん、最良のエンディングを見た時の感慨もひとしおでした。

 

 また、骨太なシナリオに加えて、登場するキャラクターの生き生きとした振る舞いも印象的でした。主人公メイサ、教え子のユウトのみならず、憎らしい上司のアルバート、言葉は荒いながら陰日向で助けてくれる魔法兵隊長など、どのキャラクターも丁寧に個性が描写されています。イベントごとに用意された豊富なCGや立ち絵なども、登場人物に対する愛着をいっそう深くしてくれました。

 

 短めの育成シミュレーションゲームをプレイしたい方や、魅力的な男性キャラクターが多く登場するゲームが好きな方にオススメしたい作品だと思います。現在公開中のバージョンにはユウトの着替え要素が追加されており、作者様のウェブサイトで詳細な攻略やおまけページも公開されています。

 なお、作者様の前作「無垢の怪物Super」には、このゲームと同じ世界観やキャラクターが登場します。今作とは異なり、ホラー要素を含む探索アドベンチャーゲームですが、併せてプレイするとより作品世界を楽しめるのではないでしょうか。

 

 

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